ヒスタミンは鼻粘膜上皮の知覚神経終末にあるH1受容体を刺激する.
この刺激は三叉神経節を通り脳幹にあるくしゃみ中枢,分泌中枢に送られる.
中枢からは遠心経路であるvidian神経を経て鼻腺と鼻粘膜下の血管に刺激が伝わり.鼻汁分泌と鼻閉を生じる.
また,中枢からの刺激は迷走神経,舌咽神経,顔面神経を経てくしゃみを生じる.
知覚神経C末端からはサブスタンスPなどの神経ペプチドが放出され,うっ血や鼻汁の分泌に関与する.
鼻汁,くしゃみの産生にはヒスタミンが主に作用するが,鼻閉はヒスタミン以外のサイトカイン,ケモカインなどに起因するアレルギー性炎症により生じる.
抗ヒスタミン薬は遊離したヒスタミンがH1受容体に結合するのを阻止することでヒスタミンの作用を抑制する.
以上のことより,一般的に抗ヒスタミン薬は鼻汁,くしゃみに対する作用が強く,鼻閉に対する作用は弱いとされている.
このため,鼻汁,くしゃみ型の患者には効果が高いが,鼻閉型の患者には鼻噴霧用ステロイド薬を併用するか,抗ロイコトリエン薬を選択する必要がある.
また,効果発現が比較的早く,早いものでは服用1時間以内に効果を示すため,鼻噴霧用ステロイド薬と併用することで,ステロイド薬の効果が十分に発揮できるまで鼻炎症状を軽減させるための薬剤としても有効と考えられる.
第1世代の抗ヒスタミン薬は効果が第2世代と同等であるが,副作用は明らかに強いため,各国のガイドラインで使用を推奨しないと記載されている.
近年では第2世代抗ヒスタミン薬の多くが小児にも使用できるようになっている.
可能な限り安全な第2世代抗ヒスタミン薬を処方すべきと考える.
現役薬剤師